■支配されないための防衛本能
恋愛に関するカウンセリングでは
「彼氏に対抗心というか、負けたくない気持ちが出てきてしまいます・・・負けたくない気持ちによって、喧嘩も増えています。
同性には思わないのに、男性にはライバル心が出てきてしまうため
この気持ちが強い限り、彼との関係が上手くいかなくなる不安があります・・・
この感情はどこからくるのですか?」
このような "彼氏に負けたくないライバル心" を持つ自分を変えたいという方からのご相談を受けることがあります。
ライバル心も使い方によっては、モチベーションになることもあるでしょうから
負けたくない気持ちがあることが悪いわけではないと思いますが
何でもかんでも勝ち負けになってしまうと、一緒にいても楽しくなくなっちゃいますよね。
そしてこの思いを持つ大半の方が仰るのは
彼氏から「すごいね」とか「俺には敵わないよ」と言われることもあるけど
別に嬉しくないし、負けたくない気持ちは変わらず出てくるそうなんですよね。
要するに、彼氏から負けを認めてるような言葉を聞けたとしても
負かした感が味わえるのは一瞬で、負けたくない気持ち自体は同じということですね。
そうなると
同性には思わないという点から考えても、負けず嫌いな性格という言葉だけでは片付けらない何かがありそうな感じがしますよね(^ ^;)
なぜ、男性(異性)に対して、負けたくないというライバル心が出てくるのか?
ひと言でいってしまうと
女性性の否定からくる感情
というのが一つ言えるのですが、今回説明したいのはジェンダーの話ではなくて
女性として生まれてきたことでとか、女性であることに対して、誰かに否定された経験から出来上がった自己否定感のことを指します。
誰かに否定された経験とは何か?
・お父さんや兄弟が優遇される家族
・厳格な父親、怖い父親の元で育った人
・男尊女卑な風潮で育った人
・家の後継にと、長男が産まれることを望む家庭で生まれた人
依存傾向で分けるなら
回避依存傾向が混ざっている女性(男性も逆パターンであります。)によく見受けられます。
このような環境で育つことと、女性性の否定がどう関係しているのか?
上記のような環境の中で育った場合
家族全体の雰囲気や、親や祖父母から
女性は「下」と刷り込まれていくので
日常での会話というのも
女性軽視してるような言葉や
夫婦間の何気ないやり取りも、お母さん側が従うような様子を見たり聞いたりしていたり
あきらかに男性陣(父親や祖父、兄弟)ばかりが優先され、女性はぞんざいな扱いをされたり、後回しされたり・・・
細かく言えばいろいろありますが、自尊心を傷つけられるような扱いや態度から
「どうしたら親に認めてもらえるのか」という気持ちが芽生えていきます。
男にはなれないとしても、
男に負けないように上になれば、あんな扱いされずに済むのではないかと
言いなりにならないように
支配されないように
強く生きるしかないし、
弱い自分を見せられなかった
だから今でも当時の名残りから
恋人の中の男性性に対して、無意識にある対抗心が出てきてしまうのかもしれません。。
そして異性への経験談でよく聞くのは
例えば
・好きな人が振り向くと少し冷める
・恋愛感情がない人に好意を持たれると「気持ち悪い」という気持ちが出てくる
・女性らしいとか、可愛いと言われると、褒められるよりバカにされてる気分になる
・セックスができないわけではないけど、性的な行為に嫌悪感や拒否感がある
このような傾向の方が多かったです。
ですので、
少し矛盾に感じるかもしれませんが
内面にある強く生きる面とは対照的に
外見的には、女性らしく魅力が高い人が多いので、異性に困る人が少なく
異性が寄ってきやすいだけに
興味の無い異性に対して、
過度に嫌悪感を感じる人が多く
それは恐らく、自分の女性性を求められることに対する否定感が、相手への不快感と繋がってしまうのかもしれませんね。
彼氏に負けたくない対抗心を手放すには、
心の根底にある「女性性の否定」を克服することですが
ここで克服する前に、
誰もが通る「課題」があります。
それは
回避依存傾向の強い人ほど、
"自分にも原因がある=弱い部分を認めなければならいことに
人より時間がかかりやすい点です。
なぜか?
回避依存のプライドの高さといったらそれまでですが、私が実際に回避傾向の方ともお話してきて感じてきたことは
プライドが高いという意味は、
色んな使い方はありますが
回避依存がある人に関しては
強く生きるしかなかった自分を守るための鎧なのではないか?
私はそう理解しています。
弱い部分を知られてしまったら、自分が保てなくなってしまう、傷ついてしまう自分を守るためには仕方なかったんじゃないかと
だから鎧を武装して、
男には負けるわけにはいかないと
無能だと思われないように自分を強く見せる
そうやって頑張って生き抜いてきたからこそ
そうそう簡単には、鎧を降ろせないし、防衛が働いてしまうのかもしれません。
実際にカウンセリングでも、自分の心に矢印が向くまでに時間がかかることはよくありますが、時間がかかることが悪いこととは私は思いません。
何もせず時間がただ過ぎていくのと、時間がかかるでは、ぜんぜん意味合いが違うので
自分と向き合いながも、
なかなか思うように進歩しないというのは
表面だけ見れば停滞とか、後退とも取れますが
花が咲くまでの過程と似ていて
種を蒔いてから、芽が出て視覚で認識できるまで、タイムラグがありますよね?
でも土の中では芽を出そうと
ゆっくり静かに成長しています。
植物の種類によって芽が出る速度が違うように
人それぞれ生きてきた環境や、
置かれていた状況、関わる人間も違いますから
他人と比較しても自分に何の得にもならないんです。
自分の人生なんだから、
自分のペースでいいじゃないですかね。
人は変わろうとしている時ほど、
心は痛むものなんです。
大きく変わろうとするときは、
もっともっと痛みます。
(成長期の膝の痛みに似てますね^^)
変わらない苦しさだけじゃないんですね。
でも、弱い部分がある自分も自分なんだと、受け容れられるようになると
他人に対しても寛容な心を持てるので
上とか下とか気にならないですし、横並びの対等な関係を築いていくことができます。
鎧を武装ぜすに生きるって、実体験も含めて
ほんとうに軽やかです(^ ^)
パートナーとの関係性の改善に繋げるには、
まずは自分自身を軽やかにすることが必要不可欠ですので
これからの人生
心穏やかに生きていきたい方は
ご相談ください。
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★編集後記
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今回書いてて、
まさしく過去の自分を思い出しましたが
今じゃ怒らなそうとか、話しかけやすいとか
知らない人に道を聞かれることが増えたり
スーパーで年配の店員さんと談笑しちゃうまで
柔らかくなりましたが
昔は鉄の鎧を被っていましたから
威圧感が強いだの、キツそうだの
良く言われてました(ToT)
本当の自分は、人が好きですし、
かなり陽気な人間です。笑
抱えて生きてきたネガティブな感情を手放せたことで、眠ってた陽が出てきちゃいましたが
良いんだか悪いんだか…笑
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【記事執筆者:心理カウンセラー畠山ユキ子】
2011年から心理カウンセラーとして、4700件以上(2022年現在)のカウンセリングを実施
主に愛着障害、毒親、機能不全家族から生じる生きづらさ、心の傷や問題
親子問題や恋愛関係などの人間関係のご相談を現在も受けています。
過去にはマスメディア出演等の活動経験も有り。